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2021.10.25プレスリリース
【研究】筋分化で発現誘導されるZSWIM8は筋分化を抑制する
 健康寿命を全うするためには、適切な運動による身体能力の維持が必要である。骨格筋の近傍には、負荷や損傷を受けた時に筋再生するための骨格筋の元となる筋組織幹細胞(筋サテライト細胞)が存在する。筋サテライト細胞から骨格筋への分化制御メカニズムを明らかにすることは、老化に伴う筋量減少(サルコペニア)の予防や再生医療などに役立つと考えられる。

 骨格筋分化誘導因子Cdonは多くの研究者によって解析されており、下流のシグナル伝達経路も解明されつつある(図)。しかし、Cdon複合体が担うシグナル伝達経路は完全には明らかとなっていない。
 私たちは、機能未知タンパク質ZSWIM8がCdon複合体に含まれることを見出した。また、ZSWIM8は筋分化に伴い発現が誘導されることも見出した。
 
 
 

 Cdon複合体によるp38の活性化は筋分化を促進することが知られているが、ZSWIM8はこの経路に影響を及ぼさなかった。しかし、ZSWIM8の発現を低下させると筋分化が促進したことから、ZSWIM8は未知の経路を介して、自律的に筋分化を抑制している可能性がある。
 Cdonは神経幹細胞から神経細胞への分化にも重要であることが知られており、ZSWIM8は神経ネットワークの維持にも重要であることが示唆されている。

 「骨格筋細胞への分化」や「神経細胞への分化」を維持することは、筋量の低下による転倒や怪我、認知症の予防など、特に高齢化社会におけるquality of life (QOL)に貢献することが期待できる。
 
 本研究成果は名古屋大学、名古屋市立大学、早稲田大学との共同研究であり、Nature Publishing GroupのScientific Reportsに掲載されます。
 
Okumura, F.*, Oki, N., Fujiki, Y., Ikuta R., Osaki, K., Hamada S., Nakatsukasa, K., Hisamoto N., Hara T., and Kamura, T.*ZSWIM8 is a myogenic protein that partly prevents C2C12 differentiation, Scientific Reports  11, 20880 (2021)

■研究者情報
福岡女子大学国際文理学部 食?健康学科
准教授 奥村 文彦
福岡女子大学研究者データベース
 
プレスリリース(PDF)