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9月19日 第1回 事例研究 「対話型鑑賞」

2020年09月29日活動報告

昨年度のアートマネジメント講座の中で、コミュニケーションについて考えるきっかけとなり、その後の実践演習に活かすことができたとの声があった対話型鑑賞。本年度も岡崎 大輔さんを講師に迎え実施することができました。



 
鑑賞に先立って「この後どんな時間を過ごしたいか、期待していることは何か」と岡崎さんに問いかけられた受講生たちからは、「自分の仕事にも活かしたいと楽しみにしてきた」、「食い違いが生じるなど対話に難しさを感じることがあるので、いい学びにしたい」、「以前にも参加したことがあるが、その時々で新たな発見があるので今回も楽しみにしている」といった声が聞かれました。


 
対話型鑑賞とはアート作品に関する知識や情報を前提とせず、グループで一つの作品を鑑賞しながら、それぞれの気づきや発見、疑問などを話し合う、コミュニケーションに基づいた鑑賞方法です。

まず、この日の会場の福岡女子大学図書館ラーニングコモンズ内に展示してある福岡在住の彫刻家 片山博詞さんの作品を受講生やメンター、学生スタッフなどの参加者で共に鑑賞しました。
長い布を肩から掛け、りんごを手に半球の上に立つ女性の像を、それぞれじっくりと見た後、気づきを共有しました。







「悲しいのか、怒っているのか表情が読み取れない」「見る角度によって女性の感情が違うように見える」「お腹に子どもがいるのではないか」「子どもがいるのではなくて、りんごを隠しているのではないか」「海から生まれた和製ヴィーナスのよう」「神様みたいに見える」など、ひとつの意見や感想が「私もそう思う」「私はこう思う」という他の参加者の声に繋がっていきました。

ひとりで静かに鑑賞して次の作品に移る一般的な鑑賞と違い、一つの作品を鑑賞する時間は20?30分ほど。長いようですが、あっという間に過ぎていきます。それぞれから見えるもの、感じたことを共有することによって新たな視点が生まれ、豊かな鑑賞時間になりました。



 

続いては、学内に並ぶ彫刻作品からそれぞれひとつの作品を選び、キャッチコピーと紹介文を考えて発表し、どの作品について書かれたものかを他の参加者が当てるという方法で鑑賞しました。作品をじっくり鑑賞する参加者たち。ゆっくり考えながら書く人、すぐに書き始める人、様々でした。







最初に発表した受講生が考えた、ある作品のキャッチコピーは「鉄仮面三姉妹」。紹介文は「悪事をはたらく者の前にどこからともなく現れ、風のように早く退治してしまう彼女たち。センターに座る長女、正面左手に次女、右手に三女。どれだけ風が吹いているのかと驚くくらい長い旗のようになびく髪、どこからどこまでが誰のものなのかトリックアートのように繋がれた手。この決めポーズを見せつけ彼女たちは今日も正義のために闘う」。とてもユニークな紹介文にみんな笑顔になりました。
他にも「行儀悪いと言わないで」、「見返りネッシー」、「彼女の日課」、「かくれているぼうや」、「美は一日にしてならず」など、ユニークなコピーがつけられ、個性を感じる紹介文が続きました。
 
どの作品を紹介したのかの答え合わせでは全員が正解したものや半数くらいが正解したものもあれば、誰も正解できなかったものもありました。見てとれることについて客観的に紹介した文は正解を導きやすく、作品の背景にある物語を想像して主観的に紹介した文は正解しにくかったようです。ワークを始める前に、「正解を導くように紹介する」とは説明されませんでした。多くの正解者を出した紹介文がいいわけでも、説明的であることが悪いわけでもなく、岡崎さんが手段はその時々の目的、相手にどうなって欲しいのかによって決められると説明しました。実際に自分たちの表現の仕方、伝わり方に違いを感じただけに、そのことを深く理解することができました。



最後に岡崎さんからこの日の講座の意図が伝えられました。ワークを振り返ると納得できる内容に、この講座の目的が果たされていることがわかりました。今まさに受講生による企画を行うにあたって、目的を明確にし、手段を選ぼうとしている受講生にとって、得るところの多い時間となったようです。
岡崎さんには2月に行う受講生による企画実施の報告会にもお越しいただく予定です。多くの気づきを受け取った受講生たちが、どのような報告をするのか期待されます。


 


           
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